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ほぼ突発ツンデリンとマセレン改めてただのえろいひと。別に注意を促す事でもないですが朝ちゅん。
知っている人は知っているかもしれない設定。知らなかったらイミフと思って下さい。知ってる人はプギャーしといて下さい。

 目覚めるとまず見えるのは、見知った天井と同じ天井だった。

 それからもうとうに慣れた淡い黄色と白の市松模様のシーツ。布団。枕も確かそうだったか。寝室用品はセットでまとめ買いをしていた気がする。それから、さりげなく置かれた小さな兎のぬいぐるみ。時計。鏡。ハンガーに掛けられる事無い制服の端(指先に引っ掛かるそれ)隣に自分でない熱を感じて、ああここはリンの部屋か、とようやく自覚する。

 規則正しく呼吸を繰り返すリンは、未だ眠りの中だった。優しい夜に包まれていた安堵のままに、無邪気な寝顔を無防備に外気に晒している。普段なら、考えられない(と言っても、俺の言う『普段』のリンなんて、ごくごく殊勝な時間の事しか指さないのだけれど)薄く開かれた桜色の唇の前に、小さな掌がそっと添えられ、呼吸の度に喉の奥から微かに零れるような吐息が漏れる。ゆったりとした上下を繰り返す肩と、ほんのりと染まった肌は、既に昇った太陽の元では眩しいくらいだった。
 珍しいのは、それが大人しくもどこか自発的に、俺の腕の中で丸くなっている事だった。身体をぴったりとくっつけるように横向け、そのマシュマロか何かみたいに柔らかそうな頬は、俺の肩に乗っかっていた(柔らかいだけじゃなくて意外に弾力ある)(どこと無い寝苦しさでいつもより早く目覚めてしまったのは、このせいか)
 うーわ、と思わず嘲笑的に呟いた。下敷きになっていない方の手を額に乗せて、小さく失笑する。目が覚めたら、どんな顔するんだろうな。きっと毛を逆立てた猫みたいな反応をするんだろう。引っ掻き傷は避けられない。

 ふと首を反対側に傾けると、視界の端に床に落ちた携帯電話が目に入った。机の上に置いてある、パステルカラーのオレンジにいかにもなストラップの大量についた携帯とは違い、何の装飾も付いていないそれに、そういえば昨日あそこに落としたきりだったかと思い出す。よく壊れなかったな、と使い方の荒い主人を持った携帯を内心憐れみながらも、ちかりと光った携帯に思わず別の意味で失笑した。着信を告げる目に痛いアクション。昨日、一方的に通話を断ち切った事を怒っているのだろう。見た目だけはやたら綺麗な年上の女は、中身は恐ろしいくらいに腹黒い。リンは彼女との関係を気にしていたが、あれだけはある意味別枠だった。煮ても焼いても食えやしない。

 物言わない携帯から視線を外し、依然眠ったままのリンに戻す。実際枕にされた腕はとうに感覚がなく、指先がちりちりと痺れてきてはいたが、それでもリンを起こすことはしなかった。というか、出来なかった。普段、常に眉根を寄せた顔や、怒りをあらわにした泣き出しそうな目しか見ることの無い俺に、その寝顔は反則過ぎる(幸せそうな顔なんて、ついぞ久しく見たことが無い)
 起こさないように体勢を変え、眠るリンと向き合ってみる。何の気無しに頬を抓ってみると、むぅ、と僅かに顔を顰たものの、リンの瞼が開かれる事は無かった。
 しばらく寝顔を拝見しつつ、頬を突いたり抓ったりちょっかいを出してみるものの、やがて飽きた。再び正面に向き直る。見上げた天井は、無機質な白であるものの、朝日に照らされて柔らかい色に染まっていた。
 こんな穏やかな朝を迎えたのはいつ以来だろうか。目覚めた時に、隣に熱があったことは幾度とある。けれど、それが幸せそうな彼女であったことは、恐らくごく小さな頃だけだろう。まだ、自分達が同じだと信じていた頃。俺とリンが違える事なく、いつまでも手を握っていられるだろうと、無邪気に信じていた頃だった。その手を振り払ったのは、紛れも無く俺自身だったが。

 不意に、リンが小さく身じろぎをした。微かに呻いた後、眉を寄せる。肩が出ていては寒いだろうと毛布で首から下を包んでやり、ついでとばかりにリンの髪をくしゃりと撫でる。あくまで自分がそこにいるのだということを分からせる為、強く抱き寄せたりはしなかった。好き勝手リンの髪で遊びながら、その時が来るのを待つ。
 やがて長い睫毛が細かく悸き、深い空色の珍しい瞳が(俺と同じ色の、)俺を映した。

 「―――…あ、ぇ……?」
 「起きた?おはよう」
 「…………ッ!!?」

 とろんとした寝起き特有の表情が、一変するまで約3秒。瞬時に自分が何をしているのか、どこにいるのかを確認し、素早く起き上がり、俺から距離を取りつつも布団を引っつかんで体に押し付けるまで約2秒。そして、右手を振り上げて俺の顔に引っ掻き傷を残すまで、多分瞬殺。

 「なっ、何でいるのよ!!」
 「それは昨日ここで寝たから」
 「っ゛!?早く出てって!!」
 「自分が勝手に人に抱き着いてた癖に」
 「うっ、うるさいバカバカしね!!」

 ベットから蹴り落とされそうになるのをなんとか避けて、慌てて自分からベットを下りる。落ちてた自分のシャツと携帯を拾い上げて、投げ付けられる枕からひょいと身を躱した。

 「いーじゃんたまには可愛いとこ見せてくれたって」
 「うるさいっ!!出てけばかぁ!!」

 はいはい、と返事をして、大人しくヒステリーを起こしたリンの部屋から退出する。それでもしばらく聞こえた物音に、仕事狂いの両親に改めて感謝した。
 携帯を開いてみると、着信が1回にメールが23件。どうやら初音先輩は、電話に出ないとなるとさっさとメールの嫌がらせに切り替えたらしかった。見るのが恐ろしい。それらを一切確認せずに、デジタル表示の時計だけ確認する。時間はまだ8時過ぎで、休日に起きるには早過ぎるくらいの時間だった。
 部屋に帰って寝直すか、と何の気無しに髪を掻き上げると、指先がさっき出来たばかりの傷口を掠めた。神経を電流が走るような痛みが過ぎる。けれどその爪先から感じる微かな愛情が、どうしようもなく愛おしかった。













+++++

やっぱりレンがうざい。
これを書く為に、昔書いた同じ設定の話を読み直してみたらしにたくなった。つらいつらいいきるのつらい。あれを知人に見られてるのが1番辛い!救い難い!リンちゃんたすけてぇえ!!\(^O^)/となりました。もうあそこ二度と復活出来ない気がして来た。

そしてこの話、実は某さんがお誕生日だったと知って慌てて書いたものだったりする。しかし出来上がりを見てみたらとてもじゃないけどお祝いになんてならなくて、何も言えなくなったわたくし。そもそも消息不明なのは私の言葉ボキャブラリである。こんなレンのキャラクター性を完全無視してレンリンに走った文章私の得意分野だった筈なのに…!カムバック言葉ボキャブラリ!

でも折角だからこっそり上げてこっそりお祝いしとく!お誕生日おめでとうございます!
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