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人パロです。鏡音は開き直って従姉弟設定。これからレンリンに発展するだろうと思われる。
しかしなんというヤンメガ臭漂うタイトルでしょう。元々携帯日記の方に上げる小話の予定だったので、タイトルとか真面目に考えてなかったんです。
物心付いた時。そう意識を始めた瞬間から、あたしは喧嘩が大嫌いだった。
これは完全なる気性、生れつきであるがゆえ、直すのは不可能に近いと思う。だって、何が楽しいのかさっぱりわからない。相手を力で負かせて捩伏せたいっていう、その思考がそもそも信じらんない。なんで仲良く出来ないの?何の為の言論の自由なの?って思う。つまり、あたしは平和主義者なんだなぁ、と、成長するにつれてそう思った。これでも、幼稚園の頃なんかは、おもちゃを取り合って喧嘩する男児達を見ると凄く苛々して、殴り掛かったりしていたものだけど。いやこれは喧嘩なんかじゃなくて、ただ、言ってもわかんないんだもん。元々口が達者な方じゃ無いし。痛みってもんを、直接体で分からせてあげないと、小さい子って分からないんだって体で理解していた。
小さい頃は、それで良かった。あたしにこっぴどく殴られた子達は(今思うとやんちゃにも程があるけど)次からはもう喧嘩しなかった。誰かを殴らなければ、あたしも殴らないって約束したから。まあ、あたしがいない所では普通に喧嘩してたらしいけど、手の届かない範囲の事まで気にする程正義感は強くない。むしろ、あたしの考え方は非常に現実的な方だって自負している。だから、中学に上がってからは、男同士の喧嘩に飛び掛かる事も自重してた。だって言っても女の細腕で、敵う訳ないもん。飛び込んでいって怪我する義理もない。しかるべき所に任せておこうって、そう思っていたんだけど。
「………なんでしょう、これ」
思わず自問自答した。あたしの目の前には、一人の男子生徒が地面に頭から転がっている。理由は簡単。あたしが殴ったからだ。いや、蹴ったんだっけ?何にしても、あたしがやりました。ごめんなさい。そんな状況に立たされていた。
本当は、わあわあ喧嘩していた人達はこれよりいっぱいいて、むしろ大人数相手にこの転がってる彼が大立ち回りを見せていた。だからこそ、あたしが突如現れて、彼をぶちのめしてしまうと蜘蛛の子散らすように逃げて行った。喧嘩って、人数多い方が有利に感じるけど、以外とそうじゃないんだよね。むしろ、人が多い方が付け入る隙が多くて……って、そんな事は今関係なくて、とにかくあたしは地面に突っ伏したきり動かない彼の前で途方に暮れている。
なんでまた、こんな事をしてしまったんだろう。ちょっと前までは、教室でミクちゃんと仲良く談笑していたっていうのに。それが、少しばかり長話が過ぎてしまい、気付いたら下校時間は間近に迫っていて。更には今日、お客さんが来るとか言う話をお母さんがしていた事を思い出し、おまけにそのお客さんを迎えに行く役を仰せ付かったのもあたしであり。慌てて学校から駅までの道を直行して、それでも間に合いそうになかったから、橋の下を近道しようと思い付いて。そうして、学生服を来た明らかに不良ですみたいなお兄さん達の喧嘩場面に立ち会ってしまったという訳で。
一対多数という状況に、お決まりの苛立ちが込み上げた所で、思わず上げそうになった声をぐっと抑えた。この人数相手に殴り込みしたって、あたし一人じゃ敵う訳もない。大人しく警察に連絡するのが得策だ。既にそこは肉のぶつかる音と、悲鳴と何かで阿鼻叫喚と化していて、早く何とかしなきゃと慌てて携帯を取り出した、その時。
ふと、気付いてしまった。
集団に襲われてる筈の、一際明るい金髪の彼。襲われているにしては、妙に余裕しゃくしゃくだった。いや、それどころか彼は、大勢相手に被害者の立ち位置に回っていなかった。むしろ、この場の阿鼻叫喚の元凶ともいえる加害者は、彼だ。
彼は、この大勢が自分より遥かに弱いということを分かった上で、喧嘩している。煽っているんだ。自分に向かってくる弱い相手を、捩伏せる事を楽しんでる。そう気付いた瞬間、言いようのない苛立ちが、瞬時に全身を巡って吐き気がした。
「……ッにしてんだてめぇええ!!」
思わず、叫んでしまった。しかもお腹の底から。花の女学生が言う台詞じゃない(セルフツッコミ)
そこから先は、もう何と言いますか。斜面になっている地面を駆け下りて、高架下まで一直線に飛び込み、突然の声に顔を上げた金髪の顔面目掛けて殴り付けた。倒れかけた所を、腹部目掛けて膝蹴りまで入れる。ああうん、殴る蹴る両方やったんだった。そりゃあ倒れますよね、所詮学生、プロじゃあるまいし。根本的に体の作りは人と一緒だもの。
斜面を駆け降りた勢いそのままであった事も手伝って、か弱い女子中学生のあたしの攻撃でも、彼は悲鳴一つ上げずにそのままその場に突っ伏した。しまったやってしまった、とあたしが我に返った時には、その他の不良のお兄さん達は「鏡音がやられた…やべえこいつマジでやべえ!」と叫んで一目散に逃げていた。
あっという間に取り残されて、そしてあたしは考える。あれ、鏡音?同姓?困ったな、今日来るお客さんって、確かあたしの従兄弟じゃなかったっけ?途方に暮れた所で、現在に至ると。
「え、ど、どうしよう……」
おろおろとその場に立ち尽くしながらも、ほんの僅かな希望をもって、恐る恐るとあたしは突っ伏したきり動かない彼の側にしゃがみ込んだ。学生服、というかまあ、くしゃくしゃのシャツに黒いズボン。どうやらブレザー仕様。ついでに少し離れた所に鞄が転がっている。うん間違いない、学生さんだ。しかし、男の子の好きそうなゴツい指輪とかブレスレットとかしてるけど、中々綺麗な指の少年だ。いやそんな事は関係無いよね。大切なのは、彼が推定年齢あたしと同じくらいで、更にはそう鮮やかな、鮮やかな金髪をしている事だった。遠目から見た時は染めているのかと思ったけど、どうやら違ったらしい。どうして分かるのかってそれは、あたしがそうだからだ。生れついての鮮やかな金髪。うん、ここまで共通点があると、むしろ疑わしくなってきちゃうよね。でもあたし現実主義者だし、認めるよ。それが認めたくない事でも。
「れ………レン、君?」
おずおずと、あらかじめ聞いていた従兄弟の名前を口にしてみると、ガタッ!と彼の体は明らかに反応を示した。「ヒィッ!?」と喉の奥から引き攣った悲鳴が上がる。思わず身を引こうとして、腰が抜けてその場に尻餅を付いた。これはガチだ、レン君だ!あたしの従兄弟である!どうしよう殴っちゃったよお母さんに殺される、いやそれより先に!彼に殺されてしまう!どうしよう不良怖い!
一人パニクるあたしを余所に、レン君はゆっくりと投げ出していた掌を握ると、これまたゆっくりと体を起こした。その顔立ちは、大人数相手に喧嘩をするとは思えない程、綺麗だった。ひょっとすると少しだけ、あたしに似ていたかもしれない。もしあたしに冷静な判断が出来ていたら、まずそこに驚くべきだっただろう。けれどあたしは、顔を上げた彼の目付きが、異様に悪かった(ように見えた)事、そして更に、その目がまっすぐ射るように、あたしを見ていた事で完全に我を忘れていた。どうしようマジで怖い。その据わり切った目付きは恐すぎる。たとえ、あたしに顔面を殴られたせいで、鼻から真っ赤な鮮血が滴っていようとも。
どうしようどうしようと怯えていると、不意にがっと腕を掴まれた。見ればあの、指輪やら何やらを付けた、不釣り合いに綺麗な細い指である。驚いて顔を上げると、すぐ近く、まるであたしの顔を覗き込むようにして、レン君があたしを見ていた。大変だ殺られる!恐怖に体が竦んで、後ろに後ずさる事も出来ない。ぐっと腕を掴む力が強くなって、すぐ近くで息を吸い込む音がして、あたしは思わず目をつむった。ああ、どうしてこんなに厄介な性格に生れついてしまったんだろう!と自分の生まれを心から呪った。
「ごっ、ごめんなさいごめんなさい、許して下さいーーーっ!!」
「好きだ結婚してくれ!!!!」
………あれ?
半ばパニックを起こしながら叫んだ謝罪に、被さるように叫ばれた言葉。っていうか、なんつった?え、告白?違う?隙だらけだ決闘してくれの間違い?
思わず顔を上げれば物凄く真剣な顔の彼がいて、現実主義者であるあたしは他の聞き間違いの可能性を否定せざるを得なくて。けれど、聞き間違いの可能性を否定した瞬間、新たな疑惑にまた別の意味で顔が引き攣る。だって、自分を殴り(蹴り)倒した初対面の女の子に、それでいて自分に良く似た女の子に、鼻血垂らしてプロポーズって、お前。
「いやあああ変態ぃいーーーっ!!!!」
あたしの二度目の膝蹴りは、綺麗にレン君の顎下にヒットした。
結局あたしは、地面に再び突っ伏して動かなくなってしまったレン君の前で散々おろおろした揚句、そのまま放置していく訳にも行かなくて、彼を担いで家に返った。これはあたしが人よりちょっと腕力があったのと、彼が人よりちょっと小柄だったの、両方が幸いしたんだと思う。
家に着くと、目を丸くしているお母さんに、不良に絡まれたあたしをレン君が助けてくれたは良いものの、その内一人から痛いものをお見舞いされて倒れてしまったのだ後は頼んだあたしは恐怖で未だに膝ががくがくしてるからもう寝ると一気に言い切って、部屋に逃げ込んで頭から布団を被ってぶるぶる震えていた。明日の朝、目覚めたら全てが元通りに戻っている事を願った。不良もとい変態はもういない。あれはあたしの一夜の幻だったのだと、そう願うあたしは、すっかりレン君が家に来た理由を失念していた。
鏡音レン君、14歳。その日から我が家の新しい家族となる少年と、あたしが最悪の出会いを果たした一日は、そうして終わった。次の日、様々な悪夢に悩まされのそのそと起きたあたしが、鼻に絆創膏を貼った彼を見て絶叫し、更にはお母さんから今日からお姉ちゃんなんだから面倒見てあげてね、と言われ、もう一度絶叫したのは言うまでもない。(のちにあたしは、先日お母さんの中の彼、レンの地位をうなぎ登りにしてしまった言動をしたことを、死ぬ程後悔することになるのである)
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なんかこんな展開の少女漫画を読んだような気がしまして。
出てきてないですけどこの話のラスボスはこの辺りの元締めであるミクオちゃんです。レン君が無愛想な代わりに良く笑う愛想良いミクオちゃんとか。喧嘩にめちゃくちゃ強いんだけど体は弱いという七海さん的な強さを持つミクオちゃんとか。大変だミクオちゃんの妄想ばっかりしてた!
で、そのミクオちゃんが執着してるのがさばさば姐御肌のミクさんで、ミクさんと仲良くなった人たちはみんな影でミクオちゃんにいやがらせ受けてたとか。だから、ミクさんと仲良くなったリンちゃんとミクオ君の間に何か問題が起きて、結果としてレンリンに繋がる所まで妄想しました。そんなレンリンどっかに落ちてないかな^^三^^