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レンとぐみたん。CP要素は無し。最初から最後までヤマなしオチなしイミなし文章。
※神威と呼ばれてるのがぐみたんです。実はがくことかそういうオチは無い。 


ちなみに作業BGM


 


1925にぐみカバーがあって滾り過ぎた結果でした。だってこの曲調ぐみたんが歌ったら絶対良いと思ってたんだもの…!

 「例えば、かがちゃんはどんな女の子が好き?」
 
 少年の思いは飛躍しやすいと、詩か何かで言っていただろうか。恐らくそれと同様に、毎度の事ながら飛躍しやすい少女の問いに、慣れきった頭痛を抑えるために顔を顰た昼下がり。目の前の女はもぐもぐと健康的に白米を咀嚼しながら、摘んだ箸の先をかちりかちりと二回鳴らした。そのモーションに何の意味があるのかさっぱり理解出来ないまま、俺は「特に無い」と短く言い切って紙パックの牛乳を啜った。
 
 「えー?あるでしょう普通!電車で見掛けるあの子とか、いつものコンビニにいるあの人とか!」
 「他人の存在まで勝手に捏造すんなよ。ないもんはない」
 「うぇーつっめたいっすねーかがちゃん。そんなだからいつまで経っても背が伸びないんすよ?上級生には鏡音君超可愛いと言われてしまって…」
 「何お前俺に喧嘩売ってんの?買うぞコラ」
 「そんな事言って、女は殴れないという小さい体に似合わない男気がかがちゃんにある事ウチは知ってるっすよ!」
 
 飯粒だらけの顔に満面の笑みを浮かべ、ぐっと親指を立てた神威のその指を、本来ある方向とは逆に倒した。「痛いぃ!」と神威が悲鳴を上げた所で、指を離す。わあわあ喚いている神威を余所に、苦々しい思いで辺りを見回すと、途端感じていた好奇の瞳はさっと逸れた。好き勝手席を動かして、昼食を取っている学生達を見渡せる窓際の席を占拠しているせいで、さっきからちらちらとこちらを伺う女子の、輝いた視線が痛い。
 中学に上がって二年もなれば、男女が共に飯を食べるだけでもそれまでとは違った意味で捉えられる。それを知ってか知らずか一年の頃からの腐れ縁は、未だにあろうことか俺と二人で(二人で!) 飯を食う事に疑問を持たないらしい。お前他に友達いないのかよ、と言ってみた所、かがちゃんだっていない癖にーと笑って返される。つまるところ、俺達は二人揃ってクラスのはぐれ組なのだ。といっても、孤立している訳では無く、むしろ心優しいクラスメイトは、当たり前の様に毎度俺の傍に寄ってくるこいつをなんだと勘違いしたのか、気を使って極力俺達を放っておいてくれているらしかった。まあ、それはそれで下手な人間関係に悩まされる事も無く楽なのだが、いかんせんこの女、どうして俺に近寄ってくるのかさっぱり解らない。
 
 「いったぁあいかがちゃんが暴力振ったぁ!」
 「お前の言葉の暴力に対する正当防衛だ」
 「じゃ、じゃあかがちゃんはどんな女の子が可愛いと思うっすか?」
 「はぁ?」
 
 めげないとばかりに顔を上げた神威に、思い切り不審な眼差しを向ける。さっきからおいおいなんだお前俺に気があるのかと言ってやりたくなる態度ばかり取っているが、こいつに限ってそれはないだろう。人間より機械に興味がある重度の機械オタクで、学校にまで工具とゴーグルを持ち込み、火災報知機を分解するような女だ。
 そんな俺の心情を察したのか、神威は「ほら、なんだかんだ言ってもかがちゃん随分美少年な顔立ちしてるし、意外に女の子から好評価なんすよ」とどうやら質問の理由に繋がるらしいまた突拍子も無い事を言い始めた。
 
 「お陰でウチ恨まれちゃって妬まれちゃって、全く困っちゃうっすねえへっ!」
 「そこでなんでお前が胸を張るのか解せないのだが」
 「所謂ブランド思考ってヤツっすよ。かがちゃんは相変わらず女心が分かってないっすね」
 「お前の思考が女心なら俺は一生理解出来なくていい」
 「つまり、日本人女性がわざわざヨーロッパに出向いてまでブランド品を買い漁りたがるのは、本物に価値を置きたがるからって話っすよ。ならどうして出来る限り安く安くを目指すんでしょうねえ…ブランド品の価値なんて値段にしかないでしょうに」
 「感慨深い所悪いが、少なくともその話題は未だかつて俺らの間に上った事はねえな」
 
 ころころと飛躍する神威の話に、一々ツッコミを入れる自分の律義さに泣きたくなってきた。俺って根は良い奴なんだよなあと内心自分の心の広さにいっそ感動している間にも、目をぱちぱちと瞬きながら、「だから、かがちゃんは女の子を可愛いと思うかって話なんすよ!」と突然神威は声を上げた。慌てて額より少し上くらいに掛けられているゴーグルを叩いて、神威を黙らせる。
 
 「何するんすかかがちゃん!お兄から入学祝いに貰ったゴーグルなのに!」
 「やかましい!発言はTPOを弁えろ!」
 
 危うく教室のど真ん中で変な肩書が付く所だった。だからコイツは油断がならない。しかし、本人には全くその自覚が無いのか、「なんすかそれぇー…。ウチ間違ったこと言ってないですよう」と不満げにポーチの中から取り出した手鏡を覗き込み、念入りにゴーグルの位置を直している。
 
 「大体な、女子なんてそんな意識してねーよ。逆にその意識されてるっつー過剰意識が腹立たしい」
 
 熱心に鏡を覗く神威に多少の皮肉を込めてそう言うと、手元から顔を上げた神威が、きょとんと俺を見上げた。それから、「女の子は男子よりちょっと早熟なんすよー。かがちゃんだって今に女の子が気になって気になって仕方なくなりますから」となんでも無いように言いながら、再び鏡に向き直った。
 
 「それに、別に誰かを意識している訳ではなくて、女の子は自分の可愛さに生涯を捧ぐ運命なんです。チラリズムを追求してみたり、タイミングを見計らう事に全力を尽くしたり大変なんすよ?顔立ちなんて生まれつきもあるし、その時の流行に左右される不安定なものなんですけどね…最終的に、自分を可愛く見てくれる色眼鏡を持った相手を見つければ本望です」
 「前々から思ってたんだが、お前テンション高い割に思考回路屈折してないか…?」
 「かがちゃんの前だけっすよ。だってかがちゃんは色眼鏡じゃなくてちゃっかり度の入った瓶底眼鏡掛けてるような人ですから」
 
 結局前が見えてないことに変わりありませんが、と神威は独り言のように呟いてから、満足いく位置にゴーグルが収まったのか、軽く髪を整えて鏡を仕舞った。
その一連の動作を何となく横目で見てから、女ってのはなんでああも面倒臭い生き物なのだろうかと考えた。おまけに口も減らない。まるで一歩先から見下ろしているような口調で、こちらを諫めてくる。女子と男子ってのは、ここまで違う物なのだろうか。神威の説明じゃ全く持ってわからないと言っていい。小等部の頃なんかは髪型なんて見向きもしなかった癖に、背丈が伸びるつれて手鏡を持ち出し始め、男じゃ知り得ない秘密が小さなポーチの中に増えていく。
 
 「まあかがちゃんにはリンちゃんがいますからね、色気付くのが遅れても仕方ないっすね」
 「……………」
 「リンちゃん元気っすか?」
 「しらねーよ。つうか昼休み始まんぞ」
 「ぅえ!?どうしようウチお兄に呼び出されてるのに!かがちゃん怖いから一緒に来てください!あと牛乳飲んで!」
 「おら寄こせカルシウム……ってお前、またなんかやらかしたのか?」
 「理科実験室のガスバーナー分解したのがバレました」
 「また解したのかよ…でも可愛いらしい方じゃね?そこまで叱られる事も」
 「ちょっとガス菅いじくって、ガスの噴出量を上げておいたら始音先生の前髪が全焼したらしいっす」
 「………神威先生も良くない妹持ったよな…」
 
 低く呟くと、浅い皿にこんもりと盛られたもやしを掻き込み始めた神威に「余計なお世話っす!」と珍しく憮然と返された。大口開けてもやしを飲み下す姿はまるで女らしくない。そんな姿を見せておいて、なんで一々髪の跳ね具合なんて気にするんだろうか。さっぱり分からないまま何と無く神威を見ていると、ふと思い出した。少年の思考は飛躍しやすい。その言葉の意味がぽつりと理解出来た気がした。
 もう一年くらい前、最後に見た日常は、鏡の前で熱心に髪を梳く後ろ姿だった。全寮制の女子校なんぞに入学した、片割れだった少女も今頃小さな手鏡を持ち歩いているのだろうか。
 
 空になった牛乳パックを二つ並べて、窓の外に広がる空を仰いだ。雲一つ無い淡い青なんて、見ていてちっとも面白くない。重々しい雨雲に覆われた灰色の方が、まだ見応えがあるというものだ。
 わっかんねえな、と誰に言うでも無く呟くと、「そんなもんすよ、愛なんて」となぜかしみじみと神威が答えた。
 
 
 
 
 
 
 
+++++
 
レンぐみってちょっと良いと思わないか。良いよねがくリンと対になる感じでさハァハァ。つまり対になるという事に非常に弱いんです。リンとレンは当たり前でクオリンとレンミクとかレンカイとリンメイとか。ああ攻めリンたん可愛い。
 
基本的にうちの人パロぐみちゃんの本名は神威めぐみです。口調はこんな感じで、殿の事をお兄と呼んでいる率が高い。あと人パロだとがくぐみはあんまり成立しないです。口煩いお兄と問題児ぐみたんみたいな。そしてこのぐみちゃんはリンには会った事がない。
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