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突発的にレンリンで学パロ。
何もしてないけど何かする気なのでちょっと注意。

 この時間が続けば良いと、何回神様か、それらしい何かにお願いした事だろう。

 授業中の空き教室は、そこだけが切り離された空間として存在している。カーテンの裏の陽射し、グランドの声。なにもかもが遠い。
 静まり返った日影の中、微かな呼吸と、舌の絡み合う熱っぽい音。柔らかさ。肌の触れ合う感覚と、衣擦れの微かな音。白いシャツ。それだけが今のあたしの全てで、指先からゆっくりと熱が逃げていく感覚が嫌にリアルだった。縋るように首に回した腕の力を強くする。
 目の前の睫毛が僅かに震えて、触れ合っていた唇が離れた。廊下の静けさが耳につく。

 「………リン?」

 上がった吐息が、離れた唇を撫でる。何かあったのか、とレンが気遣わしげにあたしを見る。きっと、誰かの視線を感じ取ったと思われたんだろう。軽く首を振ると、鼻先が触れ合う距離がもどかしくて、すぐに襟を引っ張ってキスの続きをせがんだ。

 レンとあたしは一緒に生まれた。双子の場合、昔は後に生まれた方が上の子で、先に生まれた子が下の子だったらしい。その原理でいくと、あたしはレンの妹になる。そう考えれば、レンがあたしより大人びてるのも、納得がいく。でも結局、双子に上下なんて関係ないんだと思う。細胞単位で一緒なんだから、ちょっとくらい先に生まれたかそうじゃないかなんて全く大した問題じゃない。
 その、羊水も細胞も共有した言わば自分の分身を、本気で愛したあたしは人から見ればさぞや気持ち悪いだろう。それでも、想いは止まらない。レンが好きで、愛おしい。普通の愛情じゃなくても良いから、情愛以外の何かで繋ぎ止めておきたい。愛してるの言葉はいらない。言われたらきっと嬉しいんだろうけど、きっと泣いてしまうから。それは、家族に向けられる愛してるだから。

 「ね、誰も見てないよ、レン」

 授業はまだ始まったばっかりで、鍵の閉められた扉には誰も入ってこないと分かってる。そうしたら、もうキスだけでは止まらない。レンは凄く困ったような、痛ましい表情を浮かべたけど、そんなの知らない。責任でいい。恐怖でいい。あたしの側にいてくれれば、それでいい。満足出来る。よそ見をしても、絶対に離さない。

 「ねぇ、しようよ。最近してないでしょ?」
 「………リン」
 「何、怖くなった?後悔してる?
 レンがいけないんだよ?レンが、先に始めたんだから」

 最後の方は言葉が震えそうで、必死に唇を曲げて笑みを浮かべた。
 レンの痛みに付け込む自分に嫌気がさす。けど、使えるものはなんだって利用してやる。レンを繋ぎ止めるなら、何だってする。開いてない傷だって偽装して、こじ開けて突き付ける。

 最初に襲ったのは、レンの方だった。
 怖くて痛くて泣き叫ぶあたしを押さえ付けて、純血を散らしたのはレンの方。レンはそれを、後悔してる。あたしはそれを知っている。
 多分、あたしじゃなくても良かったんだろうな、と思う。もしあたし達が双子じゃなくて、ちゃんと部屋も分けられてる普通の姉弟だったら、きっとレンはあたしを襲ったりはしなかった。理由は単純。好きじゃないから。
 でもあたしは、あの日、シーツに散った赤い花びらを撫でながら、酷く嬉しかったのを覚えてる。レンはちゃんとあたしが寝付くまで部屋にいてくれて、体も多分綺麗にしてくれた。いつまでもショックに啜り泣くふりをしながら、どうすればレンはまたあたしを求めてくれるだろうって、そればかり考えてた。一度きりの興味本位の行為を、永久に続く赤い糸にすり替える方法。そして、あたしは思い付いた。
 レンは多分、あたしの事が大切だと思う。そこら辺の誰かよりは、まだ好きだと思う。でもそれは、家族の情愛。甘い恋の形ではない。
 だから、そんなもの無くなってもいいと思った。いつか離れていく程度の情愛なんて、いらない。愛してくれないなら、他の感情は何もいらない。あたしだけを抱いて恋人紛いの気分にしてくれればいい。レンに恋人が出来なくなればいいんだ。
 次の日から、痛むふりしてレンに纏わり付いて、時間が経ってから自分から求めた。セックスの快感に捕われたふりして、レンに壊されてしまったふりをした。演技ばかりのあたしに騙され、可哀相なレンは、それを信じて今でも責任しかない行為を続けてくれる。
 これで早く、子供でも出来れば良いんだ。それで、二人まとめて勘当でもされて、レンの周りにはあたしだけになればいい。そんな風に考えるあたしは、ひょっとしたら本当に壊れてしまったのかもしれない。でも、『責任』をきっちり果たすレンは、なかなかあたしの願いを叶えてはくれない。

 ね?と小首を傾げて、窓辺の机に腰掛ける。自分で制服のリボンを解いて、ボタンを外した。この誘い方は、レンに習った。留め金を外す簡単な方法は、あたしだけが望んでるように思わせればいい。そこに、逃げ口を作ってあげる。男ってちょっと卑怯だよねって思う。レンも、ずるくて馬鹿で愛おしい男の一人だったんだなって、体を重ねるようになってから、今まで知らなかったレンを沢山知れた。
 ずっと一緒に過ごして来て、同じように育って、知らない事なんてないと思ったのに、まだまだこんなに沢山あるんだ。もっと知りたい。レンの事なら、なんでも体に刻み付けたい。
 誘う笑みで手を伸ばすと、やがてレンは、あたしの座る机に膝を付いた。唇が重なり、あたしの指の続きをレンが引き受ける。首筋に伝わる微かな熱が、どうしようもなく嬉しくて、悲しかった。

 レンはあたしを愛してない。それくらい知っている。
 それどころか、もうレンはあたしの事を双子の片割れとしても、思ってくれてはいないかもしれない。それでもいい。レンを繋ぎ止めておく為ならば、なんだってする。嫌われても憎まれても構わない。
 甘ったるい猫撫で声でも、レンの為なら出せる。体だけで良い淫乱女と思わせてあげる。だから、あたしの側にいればいいんだ。そうすれば、あたしは満足することが出来る。そう自分に言い聞かせて、首筋を伝う熱に瞳を閉じた。
 喉の奥から零れた嬌声は、驚くほどに鳴咽に似ていた。














+++++

所謂少女漫画の主人公サイドから見た嫌な女の立ち位置にリンを置きたい。全力で。

でも主人公の立ち位置にミクを置きたくないので既にアウト。
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