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そういえば連載にちょろっとぐみたんが出て来るので、これもまた修羅場時に書き連ねたぐみたん話。
多分ぐみが発売されてしばらくくらいに書いたやつなので、時系列的にもそのくらいです。しかしやる気のないタイトルだ。

 生まれてからずっと、ぐみはお慕い申し上げる兄上と共に暮らしていました。

 兄上のお名前は神威がくぽと言います。ぐみが生まれる前、この広いマンションの一室にお一人で暮らしておりました。
 ぐみが生まれ、まだ右も左も分からなかった時、そっと手を差し延べて下さったのが兄上だったのです。
 それ以来ぐみはまだ少ないお給料では足りないものを全て兄上に支えて頂き暮らしてきました。なぜ兄上がぐみにこんなに良くして下さるかといえば、兄上にとってぐみが妹に外ならないからだと兄上はおっしゃっておりました。
 兄上とぐみは同じ所で開発、作製されており、他の先輩方とは違う、もっと深い所で兄上とぐみは繋がっているのです。ぐみは、その事実だけでとっても幸せで、ご飯が三杯はいけると思います。

 兄上は古来の日本国を思わせながら、どこかエキゾチックなその風貌と、セクシーな低音で他の先輩方とは一線を画しておりました。中の人だって、凄いのです。
 だから兄上は、このお屋敷とは呼べないハイセキュリティーなお部屋に一人隔離されておりました。こんな広い所にお一人で、さぞや淋しい思いをなさっていた事でしょう。ぐみがその事を聞くと、首を振り、それ以上は黙して何もおっしゃってはくれませんでした。けれど、どこか遠い空を見上げながら、「今は、ぐみ殿が居るからそれ程では無い」とおっしゃってくれました。ぐみはそれが嬉しくて、舞い上がり、そしてこっそりと涙を流した程でした。
 ぐみがこの世界に生まれたその時に、初めてお目に掛かった兄上。兄上がぐみの兄上で、本当によかったとぐみは心からそう思います。ぐみは、兄上を心からお慕い申し上げているのです。



 兄上は今日もお仕事に向かいました。ぐみはまだ生まれたばかりですし、何より女声型のVOC@LOIDはぐみの他に沢山いるので、お仕事はまだ少ないです。それでも、兄上はぐみの声を良いと言って下さいますし、なにより兄上のお側にいられるだけで、ぐみは十分幸せです。
 兄上がお戻りになるまで、ぐみは家の家事を全て済ませておきます。といってもぐみはどうも家事が苦手で、最初は掃除すら満足に出来ませんでした。
 けれど、兄上は全く役に立たないぐみを見ても、怒らずに側に置いて下さいました。徐々に慣れれば良いと優しい言葉をかけて下さりました。ぐみは、不甲斐ない思いでいっぱいでした。なので、ぐみは兄上の役に少しでも立てるよう、日々家事に勤しみます。
 今では、当初よりずっと家事も上手くなりました。それには、近くに住むカイト先輩の力が大きいと思います。
 カイト先輩はとても背の高い、兄上よりもずっと前に製作された初期型のVOC@LOIDで、とても家事がお上手です。本人曰く「昔めーちゃんの帰りを待ちながらよくやったからね」だそうです。
 その後も、「最近では仕事も貰えるようになったけど、めーちゃんの好みを知り尽くしているのは俺だしきっとめーちゃんも心の奥底では俺の料理を求めて云々」言っていましたがぐみは余り聞いていませんでした。正直聞き流していました。家事に到っては尊敬すべき大先輩ですが、男声型VOC@LOIDとしては兄上の方がずっと上です。数多いる女声型VOC@LOIDの中で、ぐみはまだまだ格下ですが、兄上は天下一です。
 男声型VOC@LOIDはたった3機しかおりませんが、その内一人は仕事を選べないアイス馬鹿(と、メイコ先輩が言ってました)、それともう一人、レン先輩は中の人が女の人だそうなので男声型に入らないと思います。外見もリン先輩にそっくりなので、女の子でいいと思います。なので、兄上が1番です。ブラコンだねとミク先輩には言われましたが、気にしません。ぐみの中では、兄上がいつでも1番なのです。

 今日は兄上がお仕事でお戻りが遅いそうなので、ぐみはカイト先輩に料理を教えて貰うべく家を出ました。戸締まりはしっかりします。ぐみの粗相で、兄上の私物を悪党に盗られてしまっては申し訳が立ちません。
 もしそうなれば、兄上はぐみにも切腹を申し付けるでしょうか。それならば、切り付けて頂いた方がずうっとマシです。兄上にならば、殺されようとぐみは本望です。
 カイト先輩は家から歩いてすぐの所に住んでいます。そこには、ぐみと兄上以外のVOC@LOIDが揃って生活していました。
 その中でも、家事の事を除けばぐみはよくリン先輩にお世話になっていました。なぜならば、兄上がぐみにそうお申し付けなさったからです。兄上は、ご自分よりも幾分か年齢を低く作られているこのリン先輩を、大層信頼なされていらっしゃいました。それの揺るぎない信頼に、一時期恥ずかしくも嫉妬した時期もありました。けれど、リン先輩にはレン先輩という恋人(というと、「……それはどうだろう」と微妙な顔をするカイト先輩が思い浮かびます)がおり、またレン先輩も気持ち悪いくらいリン先輩にぞっこんでと知ってすぐに誤解は解けました。
 今では、ぐみもいつかお二人のように兄上と仲睦まじくなりたいと願っております。ミク先輩にそう言うと、「いや…それはやめた方が良いよ……」と微妙な顔で言われました。先輩方は皆ぐみに微妙な顔をします。ぐみはやはり、まだまだVOC@LOIDとしての人生経験が足りないのでしょうか。

 しかし、この日家にお邪魔すると、カイト先輩は仕事で家にいませんでした。「今日は夜まで掛かるみたいよ」とリン先輩に言われ、ぐみは少しだけ途方に暮れてしまいます。どうしましょう、これでは兄上に美味しい料理を召し上がって頂く事が出来ません。
 少しの間迷って、リン先輩とお話をして、その日は先輩宅を後にすることにしました。少しばかりぐみはしょんぼりします。新しい事を学ぶのは楽しいです。折角わくわくしながら来たに、これではただの骨折り損のくたびれ儲けです。
 少しばかり落ち込んで、すぐにぐみは元気を取り戻しました。ぐみの取り柄は元気な事です。兄上も、ぐみと一緒にいると元気が出るとおっしゃってくれました。それがぐみは、凄く嬉しかったのです。リン先輩にも、ちょっとだけ慰めてもらいました。

 結局、ぐみは近所のスーパーで茄子と人参を買って帰る事にしました。それから、お味噌ももうなくなります。外に出ると、既に日は傾きかけており、赤い夕焼けが空を覆っていました。リン先輩とのお話が、少し長引いてしまったようです。帰り際、メイコ先輩が昨日の残りだけどと煮っころがしを下さいました。有り難いです。兄上は和食がお好きなのです。
 そうして、ぐみは買物袋に茄子や人参、必要なものと、タッパーに入った先輩達のおすそ分けを入れて、家に帰ります。兄上は、きっとまだ帰ってはいません。それでも、ぐみは浮足立つ気持ちが抑えられませんでした。
 誰かを待つというのは、なんと素晴らしい事なのでしょう。ぐみは、兄上のお帰りを待つ時間が好きです。それは、必ず兄上が帰って来て下さる事を知っているからです。
 茜色の空を見上げました。渡り鳥が群れを成して、ぐみより遥かに上を飛んでいます。兄上もこの空を見上げているのでしょうか。もしそうだと考えれば、ぐみは幸せのまま明日もまた兄上と共に歩む事が出来るでしょう。


















+++++

兄上の事が好きなんだけど、兄として好きなんだと思ってるぐみたん。前向きでポジティブで中二病をこれっぽっちも発病してないぐみたん。ボーカロイドというよりも、アンドロイドに近く歌にもマスターにも固執してないぐみたん。目指すは大和撫子なぐみたん。ぐみたん可愛いよぐみぃぃいぃい!!(*´Д`*)
兄上にはなんか可笑しい敬語を使いまくるけど、実際はごく普通の元気っ子。本当はジャンクフードとかが好きで、日本語も若干おかしい。でも兄上に好かれる為に今日も今日とて頑張ってる元気っ子。
元気で明るくて若干辛口。主にレンとカイトに対して辛口。あとルカをちょっと敵視している。そんなぐみたんが好きなので、この子が宅のデフォ家のぐみたんです。うわあ相変わらず性格わっるい!
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