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タイトルと内容は全く関係ないです。連載はちょいとお休み。

割とガチなショタレンとリン。なんでレンがショタなのかはイマイチ不明。レン、リン……?
一応お正月の話。私の中のボーカロイドは、ぐみたんで今の所終わってる。

 「レンきゅーん、こっちにもお酒ちょうだぁ~い」
 「はい、今行きます」
 「ちょっ、レンくんふきん!ふきんくれない!?」
 「はい、ただいまです」

 いつもの金髪頭に、黒い袴。
 背丈がちっちゃいせいで、どう考えても七五三にしか見えないレンが、酔っ払いの合間をあっちにこっちにちょこちょこ動き回るのを、あたしは可愛いなあなんて思いながらただ見つめていた。手伝う気は、あんまりなかった。

 お正月。頼るべき大人がみんな潰れて、代わりに子供が頑張るしかないような状況が、今目の前に繰り広げられている。といっても、実は不良のミク姉や、メイコ姉に騙くらかされたぐみちゃんは、当に大人の仲間入り。結局、頼りと言えば、甲斐甲斐しくおせちを作っていたせいで、アルコールの並に乗り遅れたカイト兄くらいな訳だけど。
 そのべろんべろんに酔い潰れた大人達と、ひょろひょろと長いカイト兄が誰かしらを介抱する中を、ちょこちょこと、本当にちょこちょことレンは動き回っている。身長のせいで、少し離れた縁側に座って庭の大騒ぎを見ているあたしには、あの金髪頭が揺れてるのくらいしか見えない。
 うちのレンは、何故だか知らないけど一般的な鏡音レンより、大分設定年齢が低い。推定年齢、多分10歳くらい。非常に良く出来たショタレン。そして何故か、あたしの恋人、らしい。弟じゃないらしい。不思議。

 「レンくんはほんっとにかんわいぃわねぇ~食べちゃいたいわぁ」
 「うわぁ!メイコ姉さんお酒飲み過ぎです!」
 「あぁっこらメイちゃん!子供に絡まないで!レンくん、もういいからリンの所行ってて」

 酔っ払ったメイコ姉が、両手を広げてレンを拘束(いや多分抱きしめようとしたんだと思うけど)しようとした所で、カイト兄のストップが掛かる。おぅおぅお姉様はショタが好きですなあと膝に肘を付き、掌の上に顎を乗せてその様子を見ていたあたしは、突然上がった自分の名前に驚いて、少しだけ眉を上げた。それしかリアクションが出てこなかった、自分の無表情っぷりにも少し驚いた。
 カイト兄と2、3言葉を交わしてから、レンはこっちを振り返る。そして、少年特有にまだふっくらとした柔らかさの残る頬を、それは嬉しそうに綻ばせた。まあそんなに嬉しそうに笑われちゃ、こっちも邪険に返す訳にもいかないので、掌に乗せていた顎を上げてレンを見返す

 「リン!」

 袴の袖を翻して、下駄で危なっかしくレンはあたしに駆け寄ってくる。因みにあたしは私服。着物なんて動きにくくて着ていられなかった。あとはカイト兄と、ルカちゃんも私服。ルカちゃんは今、完全酔っ払ったメイコ姉と一緒に、あぁんレンきゅぅんと手を伸ばしている。つーかレン人気ありすぎだろ。レンの人気に嫉妬、なんてね。

 「走ると転ぶよ」
 「大丈夫です。リンは?おせち食べないのですか?」
 「あんまりお腹空いてないの」

 軽く肩を竦めて見せると、レンは小さく「リンはご飯を食べ無さ過ぎです…」と呟いて、あたしの隣に腰掛けた。小さなレンは、あたしの胸あたりにようやく頭の先が届くか届かないかくらいしかない。なので、俯かれると髪で顔が隠れてよく見えない。

 「今は食べないだけで、後でお腹が空いたら食べるから」
 「そんな事言って、リンはいっつも食べないです。リンは普通の鏡音リンより絶対痩せ過ぎです」
 「それあんたに言われたくないわ…」

 レンのその小ささに比べたら、あたしの痩せ方なんて可愛いらしいもんだろうと、割と本気でそう思うのだけど、レンはきっと顔を上げて「はぐらかさないで下さい」とあたしを睨んだ。いや、はぐらかしてねーよ。見逃し難い本音だよ。

 「リンは痩せ過ぎです、肋が浮いてます!女の子がそんなに痩せてちゃ駄目だってカイト兄さんが言ってました!ご飯を食べるです」
 「ちょっ、良いから本当に!腕引っ張らないでよ」
 「……ひょっとして、リンおせちが苦手ですか?」

 図星を突かれて、言葉に詰まる。
 レンが、見た目の割に良く出来るせいか、あたしは歳の割に駄目な所が多い。1番顕著なのがこの、偏食と怠慢と世渡りの下手さ。人付合いなんて面倒臭い。甘ったるいおせちも嫌い。それが、今あたしが宴会を離れてここに座ってる理由だった。思春期丸出しなあたしに、他の人達も、気を使って何も言ってこない。こうして何か言ってくるのは、唯一レンだけだった。

 「じゃあ普通のご飯でいいから、何か食べるです。台所行きましょう」
 「別に良いよ、わざわざ」
 「良くないです、わざわざでもないです」
 「お正月なんだから、あんたこそ宴会交じってきなさいよ」
 「僕はもうおせち食べました。黒豆も14個食べました。それに僕は、そろそろリンといたいです」

 どうやっても引き下がりそうにないレンに、溜息をついて「……分かった」渋々立ち上がる。嬉しそうににっこりと笑ったレンに手を引かれ、家の中に入った。
 あたしの手をぎゅっと握って引くレンは、歩幅のせいであたしより歩くのが随分遅い。本人もそれを意識して、小走りになってるけどまだ遅い。そうやって、一生懸命に先を行こうとするレンの後ろ姿に、あたしは敢えてゆっくりと、付いていけるペースで後ろに続いた。なんだかんだで、あたしもショタレンファンクラブの一員らしい。

 「本当に、あんたってなんでわざわざあたしの事でムキになるのかしらね。しかも頑固だし」
 「当たり前です。僕はリンの恋人ですから」

 そう言って、いかにも誇らしげにレンは笑った。
 そもそも、この恋人、という言葉の意味すら、あたしには不明だ。全く知らない内にレンが色んな所で吹聴して、全く知らない内に既成事実みたいなものが出来て、現在に致る。
 この件について、今まで何度かレンの不当な解釈を訂正しようと試みたが、その度に泣き出しそうな顔でこっちを見られるし、歳の離れてるっぽい相手にムキになって否定することも出来なくて、仕舞いには面倒臭くなって、放っておいて更に現在に致るのだ。
 だから、あたしとレンが本当に恋人同士なのか、肝心な所は不明だと思う。レンがあたしの事を好きなのはどうやら事実らしいけど、あたしがレンをどう思ってるかは、あたしにもよく分からない。
 可愛いとは思う。良く出来てるとも思う。こんな子が彼氏だったら、まあ悪い気はしない。けど、やっぱりレンはあたしよりも手が一回り小さくて、柔らかくて、あったかい。恋人ですと胸を張って紹介出来る相手では、ない。

 「……そもそも、なんでレンはあたしの恋人なの?あたしのどこが好きなの?」

 出来る限り、レンの機嫌を損ねない言葉を選んで聞いてみる。レンは機嫌を損ねると、子供ならではの泣いて誰かに縋るという方法に出るから、このショタレンファンクラブで構成されてるような家の中ではちょっと面倒臭い事になる。
 あたしの問いに対して、レンは前を向いたまま、自信たっぷりに「勿論」と頷いた。そして、立ち止まり、あたしを見上げる。

 「リンの全部が大好きです」
 「……あっそ」
 「リン、何食べますか?林檎とかでいいですか?」
 「…何でもいいわ、もう」

 困りますねー、と言いながら、レンはあたしの手を離した。気付くと台所に着いていたらしい。背伸びをしながら冷蔵庫を覗き込むレンの後ろ姿に、思わず長い溜息をついた。うっかりちょっとときめきかけた自分がムカつく。

 「レン」
 「はい」
 「うりゃ」
 「うひゃあ!何するんですか!」

 背伸びするレンの、高く結んだちょんまげみたいなあれを、ぐいと後ろに引っ張ってやる。頭を押さえて振り返ったレンに、「別に」と短く返して台所を出る。そしてすぐ前のダイニングの椅子に腰掛けて、頬杖を付いた。
 レンは今だぶちぶちと何か言っていたけど、気にしなかった。だってただの腹いせだし。腹いせの、八つ当たり。嫌がらせ。あたしって本当にショタコンの気でもあるのかなぁと溜息をついて、小さな恋人が戻ってくるのを待った。














+++++

つまり初夢の話です、私の。
ちなみにショタレンくんが自分とリンが恋人だと信じて疑わないのは、ルカさんにレンリンでググって貰ってからという裏話がある。
このショタレンくんがなんらかの方法で性格そのままに元の設定年齢に戻った設定ならイケ恋歌なレンリンが出来ると非常に漲った。ちょっと俺妄想してくる=┏(^o^)┛
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