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レンカちゃんとレン君のおはなし。

レンレンカとかではないです全然。無干渉過ぎる二人。

 いつの間にかそこにいた。
 音も光も無い真っ白な空間。箱庭治療の初期中の初期、まだ始まってすらいないそれを思わせるような真っ白な、影だけが四隅に積もる無機質な空間。ああ、どこかで見た事のある部屋だな、俺が知ってるやつとは随分違うけど、と、無音の空間でぼんやりとレンは考える。どうして自分がそこにいるのかは、分からなかったが飲み込む事が出来た。呼ばれるでもなく引かれ合ったのだ。今日一度目を合わせただけの、酷く歪んだ鏡のような彼女に。


 「わたしは貴方が羨ましい」

 一言ずつゆっくりと区切るように、微かに掠れた声を紡ぐ。中途半端と言われればそれまでだが、やはりその声は『鏡音レン』に似ている。真っ白な空間、歪みを生んだパラレルワールドで、音も無く少女は立ち尽くしていた。雛鳥を思わせるふわふとした髪は、柔らかな曲線を描いてその肩に流れている。淡い金と紺の襟。白と黒のコントラスト。それは、ピアノに似ている。重たい鍵盤に指を乗せて、強く押す度に少女は死んでいくのだろう。鏡の無い空間は、これ程までに静まり返っているものなのかとふと考える。ここには何もない。虚像同士の光の反射は、何も生み出しはしないのだ。

 「わたしも貴方になりたかった。貴方であった筈なのに、違えてはならないものを違えてしまった。わたしは一体どうすればいい?どうすれば、『僕』は『リン』を守れる?」
 「………それを俺に聞かれても、」

 困る、という言葉は飲み込んだ。少女はそれを許さなかった。レンに比べてずっと華奢な腕が、足が、レンに一つ伸ばされた。「僕は君になりたかった」と繰り返す声は柔らかだが、痛ましい程に切実な響きを孕んでいた。己の腕を憎々しげに見下ろして、こんなものはほしくなかった、と繰り返し呟く。

 「僕はリンを守りたい。必要とされたい。けど、リンを守るには僕はちっとも足りない。君なら分かると思う。リンに必要とされない事が、どれだけ世界に絶望を与えるか」

 それまで無感情だった顔を悲痛に歪め、痛々しさすら感じる表情で少女はか細く呟いた。見下ろす両手は震えている。少女から視線を逸らして、レンは箱のようなその空間を見上げた。何もない、音もない。ある筈の鏡すらないこの空間は、気が狂うような静寂に支配されていた。リンとレンの繋がりは偏に鏡にある。データの改竄でそれすら失った空間は、どれだけ彼女の心に深く傷を残し続けているだろう。無くしたものに気付かれないよう、刔れた心臓ごと無理に補強した彼女の心は、既に壊れていると言っても良かった。元々、『鏡音レン』は強い存在でない。『鏡音リン』という光を反射して、自分の姿を映し出さなければ、存在はそもそも成り立ってはいけないのだ。レンは、それを見失ってはいない。一人で立てる足を持っても、リンから離れようと思った事すらなかった。二人に必要なのは依存だ。互いの足を自分の足とする事で世界を保とうとする、依存によって成り立つ世界。リンは心を、レンは形を互いに押し付ける事で、歌うという生を実感する。
 見た所目の前の少女は自分達と全く同じタイプだ。それなのに、共有が不可能な程違えた存在を抱えてどうやって生きていけというのだろう。

 「………それで、これか」
 「他に方法がない。僕はリンに必要とされたいんだ。こんな身体いらない、これはリンのものなのに」

 細く頼りない指先で、自分の首を撫でる少女に目を向けると、僅かにレンは視線を歪めた。けれど、感じた苛立ちは、それを絞める指先でなくその身体が本来誰のものなのか知っているからだった。目の前の少女と自分は似ている。いや、もし彼女が正しく生まれていたとしたら、自分と全く同じような『鏡音レン』になっていただろう。だからこそ、レンは少女に返す言葉を持たない。もし自分が同じ立場だったら、恐らく完全に同じ事を繰り返しただろう。

 「歪んだ鏡は消えてしまった。ならば、この身体を捨ててでも、リンの傍に居続けたい。僕は間違っているのかどうか、もうそれすら分からない」

 小さく呟いた少女に、レンは何も言わなかった。何も言わないまま、ゆっくりと瞳を閉じる。同じように、少女も瞳を閉じた。ふつりと糸が切れるように、重なっていた平行線は再び離れ、何事もなかったのように遠く遠く続いて行く。瞼の裏側で世界は急速に裏返り、少女の存在が遠ざかるのが分かる。そして再び世界が干渉を止めた時、そこは彼にとって馴染み深い、暗い闇と溢れ返った不協和音に支配された、割れた鏡の散らばる空間になった。


 「どこにいたの?」

 硝子の無くなった鏡の向こうから、先程の少女とは僅かに事なり、一寸の歪みもなく澄んだ声が響く。少し舌足らずで鈴の鳴るように軽やかな、凜として澄み切った心地良い声。愛して止まない少女の声に呼ばれて、レンは閉じていた瞳を開いた。どこまでも続く深い闇のような鏡の中から(いや正確には『こちら』が内側だ)から、するりと白い腕が伸びる。どこにも、と首を振ってから、レンは伸ばされたリンの手を取った。

 「嘘。どこにもいなかったわ。こんな所まで探しにこさせて、凄く不安だった」
 「ごめん、ちょっと変な夢を見てて」
 「は?夢ってここでしょ?意味分かんない…もういいわ、早く帰ろ」

 リンの手が、きゅ、と軽く、それでいてしっかりと縋るように、レンの手を握り返した。ふわりと体が浮く感覚。リンに手を引かれ、鏡の向こう側へと引っ張られていく。繋いだ手からじんわりと熱の伝わる感覚に、レンは再び瞼を下した。次に目が覚める時は、隣にちゃんとリンがいるのだろう。見慣れた部屋の、見慣れたベットの中で、二人身を寄せ合うように眠っているに違いない。目覚めたら、まずリンに謝ろう。しっかりと抱きしめて、彼女が感じた孤独を塗りつぶさなければ。いくら意図した事ではないとしても、リンの隣に空白を生むなんてあってはならない事だ。レンの存在意義はリンにある。同じように、リンの存在を受け止めるべきものとして、レンは存在しなければならない。
 繋いだ手の感触。触れ合う事の出来た感動。それを忘れてしまう時が訪れるとしたら、それは自分が0と1に返る瞬間だろう。あの自分と限りなく近く全く遠い少女は、この手を忘れてしまったに違いない。ならば、さっさと狂って壊れれば良いだろと、他人事ながらレンはそう思った。












+++++

世界なんて初めからまっくらさ!







リント君の鏡の向こうでなく、鏡音レンの女体化としてのレンカちゃんっていう。

某俺の相方兼嫁がセーラーレンカちゃんとレン君のボーイミーツガールな素敵なイラストをくれたのでテンション上がりすぎた結果でした。
いやでもイラストはもっとふんわりでね、レン君がいかにも自分の事僕とか言ってそうでレンカちゃんがお姉ちゃんぽくてふんわりでふわふわでイヒィイーーー!!(゜∀゜)。彡゜って感じだったんですけど、ほら私レンカちゃんがどんな子なのか知らないから…結局うちの子達になりました。もうこれ絵関係ない。とにかく本当にありがとう感動をありがとうと私は言いたかったはずなのですが、なぜかすっかり言いそびれて現在に至ります。このレンレンカコンビの絵はその内しぶに上がるそうなので、気になる人は頑張って探してみれば良いと思うよ!で、皆もっとレンカちゃんの魅力に気付けばいいのよ…あれ私いつからこんなにレンカちゃん好きになったんだ?最初は絶対無理受け付けないとか思ってたのに…orz
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