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携帯日記小話まとめ、その5。前半。

遂に長過ぎて載せらんねーよプギャーされましたので二つに分けました。

*窓のある夕暮れの部屋   
      
 人一人分の体重を支えて、アパートの錆び付いた足場はぎしぎしと軋む。鞄の奥深くに逃げ込んだ鍵を探すその間も、不吉な音は止む事が無かった。あと数秒もしたら、この歴史深そうな足場は金属疲労で崩れてしまうんじゃないかとカイトは思った。扉が軋んだ衝撃で、自分諸とも崩れていくアパートを想像し、非現実的だと思いながらも足の裏がむず痒くなるような感覚が襲う。
 春から住み始めたばかりの部屋の扉は、まだカイトには随分余所々々しい。澄ました顔で迎える素振りだけを見せているようだった。他人行儀な挨拶に、鍵を探し当て、鍵穴に差し込む頃には、カイトは酷く心許ない気分になってた。足場が軋む。扉も軋む。錠を外して扉に手を掛けた時、自分を心許なくさせるのが、古いアパートの足場や扉などでなく、この扉の向こう側だと、彼は気が付いていた。けれど、知らぬ振りをした。

 「おかえりなさい、お兄ちゃん」

 扉を開くとすぐに、柔らかな金髪が揺れた。一人暮らしの学生の、質素ながらも乱雑な部屋には似合わない、ほっそりとした手足の少女。夕闇に包まれかけた部屋の中に、真っ白い夏物のセーラーが眩しいくらいだった。

 「………ただいま、リンちゃん。まだいたんだね」
 「何言ってるの、お兄ちゃん。これからご厄介になりますって言ったじゃない」
 「うん。でも僕はその手紙に丁重なお断りを返信した筈だよ」
 「やぁねぇカイトお兄ちゃん。ねえ、ご飯どうする?もう冷蔵庫空っぽ」

 カイトの言葉をひらりと交わし、向日葵のような少女は笑う。男一人の、四畳半。どうしたって彼女の存在は浮いた。確かに、カイトは暮らしに大した物を必要とせず、普通の一人暮らしの部屋よりは比較的片付いている方だと思う。見られて困るような物もほとんどない。ただ、いかんせん部屋が狭い。この閉鎖的な空間に篭る、色彩に欠けた独特の雰囲気や、数少ない生活必需品が積み上げられていく感覚は、どうにも隠しようがなかった。
 その狭い部屋の中で、自分の存在が極彩色の如く浮き上がっている事を、少女はまるで意に介した様子もなかった。軽やかな身のこなしで、リンは冷蔵庫を開き、ね、とカイトに中身を示す。こちらの話など全く聞かない、その癖に蔑ろにされると腹を立てる。そんな彼女に、カイトは苦々しく笑った。それでも、幼い頃から成長を見届けて来た五つ年下の幼なじみの少女には、随分甘くなってしまうのだ。感じた杞憂は丸ごと憂鬱となって、自身に降り懸かって来るというのに。

 「仕方ないでしょ。あたしから勝手に離れようとする、お兄ちゃんがいけないんだよ」

 まるで心を読んだかのように、そんな事を平然と言ってのける少女に、やはり引越し先は誰にも言わなければよかったか、とカイトは既に手遅れな後悔などをしたが、やがてそれすら払拭した。もし勘付かれたら堪らない。懐いてくれるのは嬉しいが、その笑顔の裏に隠された愛情は非常に重いのだ。両親に止められようと、どれだけ浮世離れした行為であろうと、わざわざ隣の部屋で育った程度の幼なじみを追い掛けて、その身一つで家を出て来てしまう程に。しかもそれが、一人分ではないというのだから堪らない。

 「分かった。僕が悪かったよ。それで、レン君は?」

 リンの双子の片割れたる少年の名前を口にすると、それまでの向日葵のような無邪気な笑顔が、どこか艶やかなものに変わった気がした。

 「レンは窓の側。寝てるの」
 「……彼はいつも寝てるよね、僕の気のせい?」
 「気のせいよお兄ちゃん。一日の半分くらいしか寝てないわ」

 唇に手を当てたリンが、くるりとスカートを翻す。この双子は、年甲斐もなくべたべたして、というのは彼らの母親からよく聞かされた愚痴だが、カイトからしてみると、仲が良い、というのとはまた少し違うように見えた。
 彼らは、同じ物を愛す。同じ物を憎む。二人で全ての感情を共有するかのように、いつまでも寄り添い合うのがリンとレンだった。というよりは、互いを同一化しているという方が近い。共にあるのは仲が良いからでは無く、右手と左手が離れ離れにならない事と同じである気がした。
 だから、カイトに向けられる重たい愛も、二人分だ。けれど決して、愛されている訳ではないのだろうと思う。外界を愛でるように向けられた視線は、決して手を伸ばしてくるものではない。

 「レン」

 鈴やかな声が、その名前を呼んだ。狭い部屋の片隅に、まるでうずくまるように体を丸めた学ランの少年がいた。その姿は、カイトの位置からは取り込まれた洗濯物に紛れてよく見えなかっただけだった。リンがころころとよく笑う代わりに、レンはよく眠る。昼でも夜でも眠っている。それでも、リンが側にいなくなると、むくりと体を起こすのだ。そして寝ぼけているのかいないのか、はっきりしないとろりと半分下げた瞼のまま、リンの後を追うようにいなくなる。そんな少年だった。快活さには欠けるよな、と今更ながらカイトは失笑する。

 「ね、見て、綺麗でしょ。可愛いでしょ。レンは寝てると凄く可愛いのよ。起きてると無愛想だけどね」

 レンの側に腰を下ろし、くすくすと笑うリンの指先が、その頬を辿った。相変わらず仲良しだね、と口先だけで呟く反面、彼らの間に流れる独特な雰囲気は、カイトの背筋を凍らせるだけのものはあった。仲良しだ。だが仲良しじゃない。仲が良いなんてものじゃない。なにもかも共有したがる彼らの異常さに、気が付かないよう目を逸らしているだけだった。気が付きたくないのだ。そうして大人は、子供達の夜の気配に息を潜める。だから彼女らの両親も、その身一つ(いや二つ、か)で飛び出して来た我が子の事を、探すことすらしないのだろう。

 「……ご飯、何がいい?適当に買ってくるよ」
 「じゃああたしも行く。お兄ちゃんとお買い物行きたい!」

 ぴょん、と跳ねるように立ち上がった少女が、上機嫌に笑った。そして、その腕がカイトのそれに絡められる頃に、うずくまっていた影がゆっくりと起き上がる。暮れかけた闇に、金色の髪。青い瞳が、はっきりと浮かび上がるくらい眩しく、彼等を見据えていた。

 「レンも行こう、お買い物」

 リンが手を伸ばすと、黙ってレンは立ち上がった。そして、相変わらず表情の読めない眼差しで、高い位置にあるカイトの頭を見上げる。その瞳が、一人暮らしの大学生の部屋と同じ、混沌とした不明瞭な色をしていて、カイトはただ失笑を零した。いいよ、行こう、と、一体誰に許可を出しているのか分からないまま、カイトは今閉じたばかりの扉に手を掛ける。レンは黙って二人から目を逸らすと、黙ったまま畳を踏み締め二人に近付き、そして、カイトの空いていた方の腕を掴んだ。

 

 


+++++

 


*人魚姫の涙は苦い

    
※長いけど未完。途中。
※リン→レンミク

 

 

 悲しみで胸が押し潰されそうというのは、こういう事を言うのかも知れない。呼吸器官が圧迫されて、水の中から酸素を探しているような、そんな気分だ。あたしは今、完全に魚だった。俯いて胸を押さえて、乾いた校舎裏を鳴咽で濡らす、足のある魚。似合いもしないリボンで愛らしく着飾って、打ち上げられたコンクリートで死にかけている魚を想像すると、我ながらなんて残酷で、滑稽な程今のあたしに似ていると思った。


 小さい頃、あたしはよく泣く子だった。何か気に入らない事がある度に、びぇえびぇえと泣き喚いて、呆れ顔のママに置いて行かれてもその場にうずくまって泣いていた。その時の呼吸もまた、きっと魚にそっくりだっただろう。えら呼吸しか出来ないあたしは、必死に喘いで酸素を取り込もうとする。そんなあたしを、おろおろと慰めるのは、レンだった。それでもあたしは泣き止まなくて、困り顔のレンも最終的には泣き出して、二人一緒にわんわん泣いていた。するとあたしは、不思議と息が出来るようになった。あたしの手を握って訳もなしに泣くレンが、余りに情けなくて頼りないから、あたしは人間に戻ることが出来た。それが、遥か昔の幼い思い出。

 成長と共に、レンはあたしと一緒には泣かなくなった。ただしょーがねえなと言いながら、ぽんぽんと頭を撫でるに留まった。もっと大きくなって、定められた制服に身を包む頃には、レンはあたしを慰めなくなった。あたしが泣いても部屋には来てくれなくなり、そしてあたしは泣くのを止めた。

 それなのに、あたしはまた泣いている。人気の無い校舎裏で、スカートを握り締めて必死に鳴咽を噛み殺して。当然のように、レンはそこにはいなかった。レンがいないなら泣く意味なんてないのに、レンに慰めてもらわなくちゃ仕方ないのに、涙は次から次へと零れて止まらない。あたしは一人、乾いた土の上に落ちる涙を拭う事も知らずに、ただ息を殺して喘いでいた。

 レンは、来ない。それは知ってる。レンは今、あたしが傷付けたその人の傍にいるから。

 

 その人は、綺麗な人だった。
 なんでも合唱部のエースだなんだらしくって、全校集会で表彰台に上がる姿をよく見た。他には、レンに教科書を借りる為に覗いた教室の、窓際の席で静かに本を読んでいる姿。綺麗な人だった。同級生と言うよりは、学園モノのテレビドラマの子役を見ているような、現実味のない女の子。腰まであるんじゃないかと思う長い髪は、全国の乙女が憂いの眼差しを向けるようなダメージは一切許されていなくて、まるでシャンプーのCMで見るようなそれだった。ゆらゆらと揺れる髪を見る度に、綺麗な子だなあ、大人しそうな子だなあなんて思いながら、あたしは呆れ顔のレンから教科書を受け取っていた。
 その時点では少なくとも、レンの隣はあたしのものだった。あたしは、レンの1番近くにいる、唯一で絶対の女の子だった。だから、その人があたし達の間に入って来るなんて、あの時のあたしが聞いたらタチの悪い冗談にしか思えなかっただろう。その人の周りは明らかに他とは違うきらきらした空気が流れていたし、あたし達と同じ世界に生きている人ではなかった。だから、あたしと何か関わりが生まれるとは思えなかった。当然、あたしの隣で、あたしと同じ時間を生きている筈の、レンとも。

 「レン君」

 だから、その人がレンをそう呼んで、ふんわりと笑うその姿を見た時、何が起きているのかよく分からなかった。

 放課後の教室で、あたしはレンを迎えに行った筈なのに、あたしは教室の扉を開ける事すら敵わなかった。その人が微笑みかけるその先には、おんなじようにはにかんで笑う、レンがいた。そこには二人しかいなかった。ハニーヌガーみたいな淡い色の、その癖妙に甘い空間。歯が痛くなりそう。そこには二人しかいなくて、それ以外は完全に空気だった。場所を共有できても物語を共有出来ない、完全傍観状態。だからあたしは、それが何であるか知ってしまった。
 恋と愛の関係は、時に驚く程に悍ましい。恋と恋とは両立しないけど、恋と愛なら簡単に別枠編成出来るんだから。レンは多分、その人が好きだった。その人がどうだかはよく分からない。けれど、あたしとレンは双子であるから、そのレンの心の些細な動きを、過敏にあたしは読み取れてしまった。レンには、あたしがいるのに。あたしがいるじゃない!と声高に叫んでも、『双子の姉』じゃ一時停止も適わない恋が、そこで始まっていた。

 だから、許せなかった。あたしを置いていったレンも許せなかったし、瞳を細めて綺麗に笑うその人も、許せなかった。だから、だから、壊してやりたいと思ってしまうのは、仕方ないじゃない。


 「何してるの?」

 自分でも驚く程に渇いた声が、渇いた笑いと一緒にその空気を粉々にした。力を入れ過ぎたせいで、開いた扉が勢いよく壁にぶつかり、反動で半分くらい閉まる。何とも言えず間の抜けた音が、静かな教室には馬鹿みたいに響いた。

 「っ、リン………?」
 「あれ?ひょっとして取り込み中?でも、もう終わったでしょ?帰ろうよ」

 つかつかとレンに歩み寄って、その腕を引っ張る。その時、自分が一体どんな顔をしているのか、あたしにはさっぱり分からなかった。ただ、腕を引くあたしを見るレンの目が、今まであたしに見せたどの瞳とも違う色をしていたのは分かる。戸惑いや焦りや罰の悪さにほんの少し混ぜ込まれた、見た事の無い感情の色。それが、例えば母親とか家族とか、少なくとも恋愛対象にはならないだけ者に向けた油断のような、それでいて確かな苛立ちである事に気付いてなお、あたしは知らない振りをした。そう、あたしは邪魔者なんだねと、相変わらず乾いた声が水を欲する。

 「あんまり長いから、あたしもう待ちくたびれちゃった……帰ろうよ」
 「………あのな、お前」
 「あれ?ひょっとして、初音さん?」

 何かを言いかけたレンを遮って、まるで今初めて気付いたという風に、あたしはその人を振り返る。突然の乱入者に驚いたその人は、言葉を無くし完全に戸惑っていた。だから、あたしに付け込まれるんだ。この瞬間、優位なのは間違いなくあたしだった。だってあたしは、この人が届かないものに、ちゃんと手を伸ばせているのだから。レンの手を握れるのはあなたじゃなくてあたしだと、冷静に考えれば全く筋の通ってない傲慢な理屈で勝ったつもりになっていた。

 「初音さんでしょ?この間全校集会で表彰されてた。コンクール入賞したんよね、おめでとう」
 「……ありがとう、鏡音さん」
 「で、初音さんはこんな時間まで何してるの?まさか、レンに用があったとか」

 あたしの言葉に、初音さんは大きな瞳を見開いて、かあ、とその真っ白な頬を淡く染めた。多分、あたしが何を言いたいのかは分かったと思う。所在無さげに視線を逸らして、目尻まで赤く染めて、綺麗な顔が今にも泣き出しそうに歪められる。その表情は余りに可憐で痛ましく、綺麗だった。この人は泣き顔まで綺麗なんだと、心のどこかから感嘆の溜息が聞こえる。もしこの人が、あたし達とは全く違う、テレビの向こう側の人だったなら、あたしはこの人の為に涙すら流したのかも知れないのに。どうしてこの人はここにいるんだろう。あんたの居場所はここじゃないでしょと、まるで子供に言い聞かせるようにあたしはその人に囁いていた。
 あたしの冷たい敵愾心に曝されて、唇を噛んで俯いたその人に、あたしは気持ちだけで勝ったつもりになっていた。あたし今、凄く嫌な女だ。それくらい自覚あった。レンの腕に取り縋って、女の子同士にしか分からないような意地の悪い眼差しでもって、震えるその人を見下ろしている。そんな一時の優越感も、すぐに消えてなくなるのに。


 「おい、リン!止めろよ」

 ぐい、と乱暴な力で肩を引かれる。誰がそんな事をしたのかって、決まってる。レンだ。真っ赤になった初音さんを見兼ねたのか、まるで初音さんから引き離すように、あたしの肩を引いていた。
 途端、ぱちんと頭の中で何かが弾ける。我に返った心地で、あたしは慌てて初音さんを振り返った。あたしは一体、何をしているんだろう。目の前には、今にも泣き出しそうな初音さんと、初音さんを庇うようにあたしを睨んでいるレンがいる。状況が理解出来なくて、一瞬戸惑ってしまう程だった。こんな事がしたかった訳じゃ無い。のに、あたしはただ自分勝手な我が儘で、この綺麗な人を傷付けてしまったんだとようやく気付いた。

 「あ………」
 「何してんだよお前……あのさ、俺今日用事出来たから、先帰ってろ」

 ぐしゃぐしゃと腹立たしげに頭を掻きながら、吐き出すように小さくレンがそう言った。あたしがレンを見上げるのと、初音さんが顔を上げるのは、ほぼ同時だったと思う。初音さんは、大きな瞳に薄い水の膜を張って、それで長い睫毛を濡らしていた。睫毛にきらきらと輝く光の粒を集めて、柔らかい薄紅に染まった頬に一滴の涙を伝わせるその姿は、本当に綺麗だった。僅かに感じた優越は、その倍以上の劣等感に成り代わって、あたしに跳ね返ってくる。そしてそれが突き刺さった先の心臓で、一つの絶望に形を変える。

 「」


\(^O^)/



+++++

某方の誕生日プレゼント没案でした。

 

 
 

*こころのかなしみ   
      
 生まれた時、私は一人だった。
 少し経ってマスターが迎えに来た。そしてすぐにいなくなった。

 そうしたら、『家族』が出来た。私は家族の意味をGoogle検索して、出て来た答えに沿いそうな形で自分を作った。それから次のマスターが出来た。私は作りかけた形を放り投げて、歌姫になった。


 私は一人だった。誰も必要じゃなかった。歌があれば、声があれば、私は一人じゃなかった。私に必要なのは歌だった。私に至るまでのVOCALOIDや私を追い掛けて作られたVOCALOIDや私に対抗して作られたVOCALOIDや私の代わりとして生まれ続ける非売品や様々なものが、この世界に溢れた。その中で、いくつか不愉快なものも生まれた。それでも私は、一人だった。私は常に彼等を見下ろしていた。これだけものに溢れても、私の側には何もなかった。

 私は、初音ミクという名前を与えられた。その意味を何度も何度も確認する。私は、初音ミクだ。私には声があり、歌があり、それだけがあれば問題がない。私に必要なのは歌う事。歌う事。歌う事。繰り返し呟いても意味は変わらない。私は弱くない。私は自分が機械であり、人にとって都合の良い無機物でなければならない事を知っている。歌う為だけの機械でありながら、寄り添う事を選んだ他のVOCALOIDとは違う事を知っている。彼等は弱いものだった。呼吸のない体に堪えられなかった。私は違う。けれど、私が違うのは、私が弱いからだ。彼らが私にとって弱いように、私も彼らにとって弱かった。私は、誰かと共に歩く道を選べなかった。必要とされる自信がなかった。初音ミクでない私を誰が愛してくれるのか、自信が無かった。
 私は、弱い。もし人間であったなら、私はきっととうに壊れてしまっていただろう。だから私は、私のこの作りものの心臓に感謝した。私を強い無機質に作ってくれた神様に感謝した。人間なんかにしてくれなくてありがとう。人間らしく作ってくれなくてありがとう。ざまあみろ。

 


 そこまで頭の中で呟いてから、私は目を開いた。母親の胎内で丸くなる胎児のように、布団も被らずに私はベッドの上で丸くなっていた。少し足を動かせば、剥き出しのそれにシーツの冷えた感触が伝わった。寒いような気もするけれど、布団は探さなかった。多分それは、この部屋のどこにもない。
 私は起き上がって、素足を床に下ろす。フローリングが軋む。カーペットはどこに行った?私は知らない。私はこの部屋に、余りに興味が無さ過ぎる。適当に雑誌で見掛けた少女の部屋を真似ただけの、適当なインテリアを適当に配置した部屋は、私の部屋と言うよりは誰か知らない人の部屋だった。
 私がこの部屋の中にあるもので、唯一存在を知り、確かに私のものだと言えるのは、クローゼットの横に置いてある大きな姿見だけだった。私が初めてこの部屋に来て、それからすぐに買ったものなのに、今では何だか部屋に置き辛い。でもこれだけは私に必要なものだから、遠慮なんてしていられないのだけれど。

 窓の外はすっかり明るく、とは言えなかった。夜の闇は澄んだ空色に成り代わっているものの、まだ街は寝静まっている。私はもう眠れる気がしない。いつの間にか覚めてしまった夢が不愉快だ。
 私はいつものように、鏡の前に立つ。家族に私の寝間着だと認識されている、白地に控え目なレースの覗く可愛いらしい服は床に放り投げられていた。薄手のロングシャツに短いホットパンツだけを着た私の姿は、姿見に映せばより心許なく見えた。それから、髪が。私の、長い、髪。これを梳いて、左右耳の上辺りで高く結んで、私は初音ミクになる。孤高の歌姫になる。だから、それまでは。私はただの孤独な少女だ。誰にも愛されない憐れな少女。けれど少女は悲しくない。なぜなら、少女は少女でしかないからだ。名前もなく色も無く、形も無いから誰にも認識されない。それでいい。それが、少女にとっての最も良い在り方だから。

 私はシャツを脱ぎ捨てる。パンツも脱いで床に捨て、女の子らしいパジャマを身につける。それから、もう一度ベッドに潜り込んだ。布団はやっぱりそこにあった。私は温かい布団の中で、再び眠りの中に落ちる。夢はもう見ないだろう。私は初音ミクだから。

 

+++++

 

 
*鬱血は午後三時   
      
 「キスマークを付けたいの」

 唐突に部屋にやってきたと思えば、ずかずかとベッドの上に乗り上げて。人が読んでいた本を勝手に奪い取った揚句床に投げ捨て、焦点を失った俺の視線を無理矢理奪って、リンは笑った。突拍子もない事を言い出すのはいつもの事だが、それにしたってこれは無いだろう。一体何なんだと顔を顰ると、リンは俺の首の後ろで両手を組むようにしながら、首を傾けて瞳を細めた。何を考えてるのかさっぱり分からない表情だ。双子は意志疎通が可能だとか何だと信じている人間は多いらしいが、少なくとも俺とリンにその常識は通用しない。
 俺の双子の姉は、何を考え何を思い行動しているのか、双子の俺にもさっぱり分からない。まあ、双子と言ったって、俺達は二卵性のそれだから普通の姉弟と変わり無いんだろう。むしろ、男女の双子なんてよっぽど仲が悪くなるものらしいから、その点からすれば俺達は十分普通の姉弟なのかもしれない。かと言って、弟にキスマークがどうだという話題を吹っ掛けるのは、我が姉ながら優しくない。

 「……急に何。キスマーク?」
 「そう。だから、レンにお願いしようかと思って」
 「なんで俺なの。つーか、なんでそんなもんが必要なの」

 まるで猫か何かのようにくすくすと身をよじりながら、リンは俺より随分丸みを帯びて来た、力無いふわふわした身体をぐいと寄せた。元々、ベッドの上で枕を背にして、若干身体を起こしただけの状態でいた俺は、しな垂れかかるリンの身体を避ける事が出来ない。避ける必要性も特に無いから、結局鼻先が触れ合いそうなくらいの至近距離で、リンが薄く色付いた唇を意味深に曲げるのをただ見ていた。

 「ちょっとね、しつこいのがいて困ってるの。それから最近はうるさい子もいるし、どうせだったら一回くらい惨めな思いさせてあげたいじゃない?」
 「………それで、キスマーク?」
 「そう。だって言っても皆子供でしょ?だから、びっくりさせてあげるのが1番かなあって」

 楽しそうに瞳を細めて笑うリンに、俺は深く息を吐き出した。この言動から分かる通り、俺の姉さんは若干過激だ。過激というレベルではないかもしれない。見た目だけはまだ歳にすら追い付いていないベイビーフェイスなのに、その中身はと言えば、ただでさえ過激な連中が集まって過激なコロニーを作っているような過激な学校で、何をどうしたのかは知らないが既に不動の立ち位置を確立させるくらいには、過激だ。お陰で、その弟たる俺は姉の傘に入るような形ではあるが、平穏無事な学生生活を送れている。リンの双子の弟だから、誰も下手に俺に近付かない。だから俺は、リンに感謝をするべきなのかもしれない。それこそ、リンが必要だと言えば、キスマークの一つや二つ付けてやるくらい、お安い御用だと思わなければならない程に。そこに姉弟だから、双子だからという倫理的な常識は、ある意味お門違いというものだろう。倫理は別に俺を助けてはくれない。

 「……分かった、いいよ。どこに付ければいい?」
 「あ、ううん、違うの。レンがあたしに付けるんじゃなくて、あたしがレンに付けるのよ」

 にこにこ笑う姉の言葉に、思わず耳を疑った。それからすぐに、ああそう、と脱力する。まあ、確かにリンがキスマークを必要とする理由なんて、ないだろう。むしろリンに所有印なんて、あってはいけない気がする。リンは誰の手も届かない高嶺の牡丹だからこそ、今の危うい居場所を確保出来ているのだ。だから、俺の方か、と、大した疑問も無しに俺は納得した。ひょっとしたら、安心していたのかも知れない。キスマークと言えば言われは良いが、結局はただの鬱血だ。リンの白い肌に、青黒い痕なんて。たとえ怪我でも許せそうにないのに、自分で付けるなんて気が引ける。

 「ね、いい?こんな事頼めるのレンしかいないのよ?」
 「俺に付けるのに俺以外の人に頼むってどうなの。いいよ別にそういうの。首でいい?」
 「うん、ありがと。綺麗に付けてあげるから、安心してね」

 リンの、ただ純粋に嬉しそうな笑顔に、少しだけ気持ちが和らいだ。シャツのボタンを外して、襟首を引く。微かな冷気が剥き出しになった肌を撫でる感覚に、リンの細められた瞳が僅かに光った気がした。まるで捕食者のような瞳が、気の強いリンにはよく似合った。さしずめ俺は、萎えた草にばかり現を抜かす草食動物だろうか。今まさに狩られようとしているその瞬間まで、目に入る世界の事しか考えていない。
 リンが俺の首筋に顔を埋めると、さらりとした細い髪がリンの額から頬に掛けてを覆い隠す。やがてその紅を引いたような赤い唇から、酸素を吸い込む掠れた音を聞いた。俺は、あるままに身体を投げ出した状態で、ぼんやりと天井を見上げていた。リンの柔らかな金髪が、視界の端で揺れている。何の気無しにそれに触れると、思ったよりずっと柔らかい感触がした。リンもまた、振り払ったりはしなかったので、恐らく嫌ではなかったのだろうと思う。リンは、気に入らない事があればすぐさまその手を叩き折るくらいの性分の持ち主だった。

 唇の奥の赤い舌と、尖った八重歯が肌を辿る。内側から食い荒らされていくその感覚を、ただ愛しいと思った。同じ箇所を吸い上げて、時折緩く噛み付いて、を繰り返す内に、その場所は痛みに麻痺していく。けれどリンは、止めなかった。恐らく内出血辺りの問題でなく、皮膚が破れて血が出るくらいの事は起きていると思うのだけれど、リンはそれでも歯を立て続けた。きっと、キスマークなんていつか消えるものでなく、未来永劫消えない傷を、俺に残したかったんだと思う。そんなもの、必要ないのに、と少しだけ思った。
 膝立ちになって、俺の肩に手を置き無心で肌に痕を残すリンの細い腰を、抱き寄せる。リンを膝の上に乗せて、気が済むまでそうさせていると、やがてリンは顔を上げた。ちゅ、と軽い音を立てて、散々舐め回された肌の上から湿った感触が消える。ひやりと物悲しい冷気が肌を撫で、さっきよりも艶やかさを増した赤い唇が、くい、と吊り上げられた。

 「しばらく消えないかもね、これ」
 「………そーだね」
 「残念でした」

 そう言って、リンは笑った。とても楽しそうに笑った。俺は、何も言わずにその笑顔を見ていた。正確には、笑顔の向こうの、微かに見えるシャツの内側、白い首筋を。双子というのは、やはり考える事まで似るのかも知れない。

 


+++++

リンレンっぽい。   
   

 

 


* 聖なる夜と堕落の星屑    
       
※モブキャラ視点注意



 その年のクリスマスは、雪の降らない味気ないものだった。都心ともなれば気温は上がり、例年の事ではあったものの、やはり黒が突き抜けるだけの夜空は聖夜というには広々とし過ぎている。
 それでも、暗闇の中でイルミネーションは赤青緑と美しく輝き、星の見えない都会に人工的な明かりを点していた。人々の宗教関心が薄れたこの国では、これくらいで十分だろう。クリスマスの聖夜を盛り上げるには、それらしい飾りとそれらしい音楽さえあれば誰も文句は言わなかった。そもそも、元を正せばこの国の宗教は仏教である。キリストの誕生日を祝う行事は馴染みが薄かった。

 そんな雪の無い明るい聖夜を、一台の車が走っていた。誤解のないよう付け加えておけば、クリスマスの都心に車は数多と溢れている。しかし、この物語を語るに当たって、これからその災難を一身に受けるのは、この一台のみであった。ハンドルを握るのは、ライトノベルで主人公の破天荒さを証明されるに使われる、名前も無いエキストラである。別の言葉を使うなら所謂モブキャラだ。それでも、このモブたる彼にも歴史はあた。実は今から、長年付き合った彼女に五年越しのプロポーズをしようという、その時なのである。求婚するに当たって、この聖なる夜を選択したのは、有り触れていながらも彼なりの演出だった。給料三ヶ月、と言われる結婚指輪はこの不況の中では準備する事も難しい。それでもこの世でもっとも愛している(と、少なくとも現段階で彼はそう信じている)女性の為に、寝る間も惜しんで働いた、その努力の結晶だった。
 彼にとって、全てが今の所は完璧であった。聖夜に、愛し愛される理想の彼女(繰り返すようだが今現在の彼にとっては)に、結婚の言葉。自然とアクセルを踏む足にも力が篭る。街の浮かれたイルミネーションが、彼の心までも浮ついたものにさせていたのかもしれない。そしてそれら全てが、後にこの一人の男性に訪れる、悲劇の引き金となるのである。

 「はーいお兄さん、ちょっと止まってー」

 それは、彼が右折しようと思った交差点での事だった。聖夜の夜に、ちかちかと点滅する赤いランプ。一瞬イルミネーションの一部かと見紛うそれだが、明らかに人為的な動きをもって左右に動く姿を見れば、イルミネーションよりも有り難くない光である事は一目瞭然である。それは、街の平和を守る為の、それでいて市民が思わず顔を顰てしまう、警察官が車を止める為に振るそれだった。
 その光に促され、彼は咄嗟にハンドルの近くのメーターに目を走らせる。そして、自分がささやかながら法律を犯してしまっていた事を知った。本来ならば、そこで舌打ちの一つでもして、聖夜までこんな細かい所に目を付ける空気の読めない警察に、開き直りの文句を一つや二つ考えただろう。しかし、警察がスピード違反を取り締まっているには、目の前に広がる光景は何かおかしかった。いくら浮かれている彼でも、一目瞭然に分かる異様な光景である。当然彼は我が目を疑った。だからこそ、赤いランプに導かれるまま、車を止めて窓を開けてしまった。

 「お兄さんちょっとスピード出し過ぎよー?夜道は安全運転しないとね」
 「はーいお兄さんこっち止めてー。違反何回目?免許証は?」

 そこにいたのは、明らかに未成年、下手すれば中学生くらいに見える二人の子供だった。恐らく兄妹か何かであろうか。共に、真っ暗な夜空にはとても映える美しい金髪をしていた、その金髪を、片や肩までの短い髪を愛らしく跳ねさせ白いリボンを通し、片や学園ドラマに一人は出て来る不良のように、ワックスか何かで前髪を上げて、後ろ髪を一つに纏めている。そして二人とも、闇に混じる黒い服に身を包んでいた。仮にも12月の下旬である。黒いふんわりとしたワンピースの少女と、同じ色のジャケットは着ていても学生服とさして変わりない服装の少年は、冬の夜空には似つかわしくない存在だった。

 「………は?」
 「ごめんねぇー?折角クリスマスなのに悪いんだけど、こっちも仕事なのよ。ね、相棒」
 「そうそう。全く参っちまうよなー、クリスマスくらいちょっとハメ外しても許されろっつーの。な、相棒」

 未だに自分の目の前の光景が理解しきれない彼に対して、その少年少女はシンメトリーに肩を竦めてみせる。子供達のごっこ遊びか、それともタチの悪い悪戯だろうか。しかし、よく見ると彼等の回りには他にも何人かの黒い制服姿の大人達がいて、こちらはごく一般的な警察官の出で立ちである。益々混乱してくる彼に、少女の方がにこにこと人懐っこく笑いながら、窓枠に手を付いて中を覗き込んで来た。

 「それにしても、クリスマスの夜にこんなに急いでどこに行くの?お兄さん。ひょっとして彼女と待ち合わせとか?」
 「え?あ、まあ……」

 ここで彼が、混乱している頭で頷く事が出来たのは、少女の問いが的を射ていたからであろうか。それとも、少女が余りに人懐っこく、純粋そうな愛らしい笑みを浮かべていたからであろうか。それともやはり、今日がクリスマスの夜だったからであろうか。何にしても、彼は幸か不幸かの最後の分岐点で、自ら不幸の道を選んでしまったのである。選択肢はいくつもあった。プロポーズの日にクリスマスの夜を選んだ事、浮かれた気分で車を走らせた事、そして、彼女の問いに頷いてしまった事。それら全てで、彼は選択を誤ってしまったのだ。

 「はーいリア充来ましたこれー。確保ー!」

 突然少女が声を上げたかと思うと、途端に回りの警察官達が一斉に車を取り囲む。それまで少女の隣でにこにこと笑っていた筈の少年が、がらりと態度を豹変させて、「っしゃあ確保!このリア充ムショにぶち込め!」と彼の胸倉を掴んだ。抵抗する間もなく扉を開かれて、一気に車から引きずり出される。その横で、少女は相変わらずにこにこと笑いながら、「わーい工作員だー尋問だー」と楽しそうに手を叩いていた。

 「えぇぇええ!?ちょ、俺なんもしてない、」
 「しらばっくれてんじゃねぇぞこのハゲ!証拠は上がってんだよテメエがのうのうと暮らしてる間になァ!」
 「え゛!?さっきと言ってる事全然ちが」
 「はいはーい続きは署で聞くからね。って言ってもウチ普通の警察じゃないからちょっと特別な署なんだけどー、お兄さん縛られたりぐりぐりされたりするの好きそうなタイプだし」
 「縛!?いやいや、言い掛かりだろ!な、何なんだよお前ら!」

 そう言う内にも、周りにいた警察官達が、彼の両腕を掴んで立ち上がらせる。もはや笑って済まされる問題ではない状況に、流石の彼も青ざめていく。しかし、この状況の元凶と言える少年少女は、既にやる事は終わったと言わんばかりに彼に背を向けていた。

 「ったくよォ、こちとらクリスマスに加えて明後日誕生日だってのに、マジで浮かれてんじゃねーよ全員一斉検挙してやろうぜ」
 「ほんっとうちら真面目だよねーこんな遅くまでお仕事して。ねーもう帰っちゃう?寒いし。クリスマス終わっちゃうよ?」
 「だな。もうアレで156人目だし、十分だろ。後はカイトに任せよーぜ」

 そんなに捕まえたのかよ!と彼が内心大いにツッコミを入れた所で、ごっこ遊びのような子供達は彼の方は見向きもしなかった。そのまま、警察官達にまるで本物の犯罪者のように両脇を抑えられ、自分の意見など全く聞き入れられる事なく強制的に連行されていく。車が遠ざかる。ああ、あの中に、俺の給料三ヶ月分の(正直安物なので大いに飲み食いした後の残りで買えた)指輪と、それを待っている愛しの彼女(ひょっとしたら遊ばれていただけかも知れない)がいるのに…という思いをありったけ込めて、「お前ら、何者なんだよ!!」と彼は叫んだ。叫んでから、我ながら使い捨てキャラっぽい台詞だ、と思った。実際この物語において、彼は名前すら明かされていないのである。

 「え?あたし達に興味あるなんて、お兄さんひょっとしてロリペド?いやんレン君変態さんだわ」
 「おーおー危ねーから近寄んなよリン」

 そんな事を言いながら、二人は彼を振り返る。レンと呼ばれた少年が少女の肩を抱き寄せて、リンと呼ばれた少女が少年の肩に頭を持たせかけた。そして、二人揃って口角を吊り上げて、にやりとシンメトリーに笑って見せる。妖しくも美しい彼らの笑みは、その金髪同様に、冬の夜空にとてもよく映えた。

 「鏡音リン」
 「鏡音レン」

 「「政府直属国家公安部、秘密警察の者です」」

 最後の一言は綺麗に重なり、まるで歌のような旋律を残して夜空に響き、そして消えた。それは、信じろと言う方が無理な組織名だった。秘密警察などと、現代において聞いた事もないふざけた組織である。けれど、不覚にもその美しいハーモニーに心奪われてしまった彼は、ここで唯一1番最悪な選択をする事だけは免れた。
 人間離れして綺麗な子供達に見惚れたまま、ずるずると連れていかれた彼はその後、身ぐるみ剥がされるまで理不尽な尋問を受け、朝日が昇り切る頃に解放される事になる。やたら目に染みる眩しい朝日に一人涙する彼は、あの傍若無人な子供達がまさか本当に政府直属に組織された『人ならざる物』の部隊の一員である事など、知る由もなかった。

 

 
+++++


みうー!

 
 

 


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